かあちゃんが言ってたもんだ
「亡くなった者は真っ暗な道を進まなければならないんだ
でも残った者が仏壇に花を供えると、その道の灯りになって迷わないで歩いていけるんだ
私のときも、どうか花を供えてくれよ」
母が中学生のときに亡くなったという祖母の話を聞くことは昔から少なかった
思い出の少なさのせいか、話すときにいくらか滲む“痛み”のせいか… (関連 喪失の痛み )
春から秋の間には敷地のあちらこちらに花の種や苗を植えて、毎朝水を換えたり新しい花を取って来たりしていたけど、冬にはわざわざ買って来て供えている 先祖のために、そして大好きな父が暗い道で迷わないように
なるほど…と、納得がいった
ところで、冒頭の話をしている相手は私ではなく遊びに来ていた友だちで、共に仏壇を守っているという話題の延長だった
あんなに何度も同じ話を聞かされているのに、この話は初めてだぞ…
スーパーの花売り場で、冬場に値段が張る花を選んでいる母を見ている私の微妙な表情… 気づいていたのかなぁ 気遣わしかったかなぁ
ごめんなさい この冬はもっとにこやかに見守ります



