ていねいに生きる。

日々のあれこれ導いてくれた歌

年度の初めはいつも忙しくて、気付くと「とっちらかした」生活をしている。
一つの仕事が終わらないうちに次々と新しい課題が横から差し挟まれ、そらに気を取られていると順調だった仕事までこじれてしまう。
時間はいくらあっても足りない。
集中力が続かない。気持ちがすさんでくる。

当然、生活も乱れてくる。
夕食は、スーパーのお弁当、フランチャイズ店の持ち帰り弁当、チェーン店の丼物…。そのローテーション。
どこか、いつも焦っている。
「早く、速く…。」といつも考えている。

そんな生活に嫌気がさしたときに、いつも思い出す短歌がある。
ずいぶん前に新聞の歌壇に載った。
下の句が、「ちいさきいのちは ていねいに生きる」
上の句は、はっきりとは思い出せないのだが、生まれたばかりの子が、乳を飲んで眠って…を繰り返すだけの日々の愛おしさを歌った、若いお母さんが詠んだ一首だった。

私にとって一番大切なことは何だったかな。
今、私は自分を大切にしているかな。
守ろうと思っていたものを、ちゃんと守れているかな。

仕事の量が減るわけではないけれど、その基本に立ち返ると、不思議と心に余裕がもてるようになる。
「とっちらかって」いた雑事に、冷静に優先順位をつけられるようになる。
fast foodから、slow foodに気持ちがシフトしてくる。

愛情あふれるお母さんのお子さんは、きっと健やかに育って、ずいぶん大きくなったことでしょう。
あなたが生み出した歌もまた、こうして見知らぬ人の心に残っています。
そして、きっと多くの人の心の支えになっていますよ。

マイルドセブンの丘…。もう、防風林ではなくなりました。