カポックの花が

 カポックの花芽に、びっくりするくらい変化がない。

 零度を下回る朝も多いので、こんなものだったかもしれない。

 25年前を思い出してみる。

 あの年は、春の異動で引っ越しがあった。

 北海道の南から北へ、500キロの引っ越しだった。

 花が咲いた頃のカポックを、巻き段ボールで包んで、トラックに乗せたのだったか、自家用車で運んだのだったかは覚えていない。

 せっかくの花が傷つかないか、とにかく気遣わしかったが、ほとんどダメージ無しで運んで、新転地でたくさんの実を結ばせたのだった。

 そうだ、花は3月〜4月! 先は長いんだった…。

 それにしても、あの年は大変だった。

 子どもたちが小さかった中での引っ越し…。荷造りは、ほとんど一人でやらなければならなかった。末の息子は一歳で、手がかかったしなぁ…。

行った先は、とにかく寒かった。流氷も見たんじゃなかったっけ…。

 アルバムだけじゃなく、こんなところにも思い出の栞があったんだなぁ。(二つの塔参照)

 呼び起こされる記憶に、一喜一憂している私を横目に、今日もカポックはジッと息を潜めている。

日々のあれこれたどり着いた視点

 今日もまた、心が狭い…。

 左の隣家のエアコンの排水が、こちらの方へ流れてくる。

 窓から離れているとはいえ、我が家の前を横切った水は、反対側の排水溝へと流れていく。

 そちら側の家の排水も、やはりこちらに滲み出てきていて、小型の物置の足下を濡らしている。このままじゃ、錆びちゃうかなぁ…。

 ベランダの床が一続きで、パネルだけで仕切られたつくりのマンションなので、そんなこともあるのだと思う。

 でも、ちょっとした心遣いがあれば、こうはならないんじゃないか…。

なんて考えてしまう。

 エアコンから出た排水なので、別に汚れた水ではない。元は、空気中の水蒸気だから、むしろキレイな水のはず…。

 でも、隣の家の中の空気かぁ…。

 やっぱ、なんかイヤ…。

 潔癖症な訳ではないけどイヤ…。

 だからといって、声を上げるほどのことではないかなぁ…。我慢するしかないけど、せめて自分は気をつけよう。

 子どもたちにも伝えよう。

このくらい優雅な水辺だったら、文句など言いません。

日々のあれこれたどり着いた視点

 曇りなき眼で見定め、決める。

 映画「もののけ姫」で、アシタカが言ったこのセリフが好きです。

 DVDまで買って、子どもたちと何度も観ましたが、観るたびに、この言葉がずしりと重みを増していきます。

 一番の理由は、そんな心の境地に憧れていながら、自分自身は全くたどり着けそうにないと、日々実感するからでしょう。

 自分の利益を度外視して考える。

 物事を多面的に見る。

 さまざまな立場を全て考慮して、バランスの良い方法を模索する。

 思えば、今の世の中に必要なのは、こんなアシタカのような人なのでしょう。

 そんな人、どこにもいないかなぁ…。

 今日も、車を運転していて、逆走して来る自転車とすれ違ったときに、

「いいオトナなのに‼︎ 右と左、勉強しなおしー‼︎」

と、心の中で罵声を浴びせていた私ではないなぁ…。間違いなく。

2回目の登場!細いながらも、大木を支えている健気さを応援しています