思い出のしおり

カポックの花が

 カポックの花芽に、びっくりするくらい変化がない。

 零度を下回る朝も多いので、こんなものだったかもしれない。

 25年前を思い出してみる。

 あの年は、春の異動で引っ越しがあった。

 北海道の南から北へ、500キロの引っ越しだった。

 花が咲いた頃のカポックを、巻き段ボールで包んで、トラックに乗せたのだったか、自家用車で運んだのだったかは覚えていない。

 せっかくの花が傷つかないか、とにかく気遣わしかったが、ほとんどダメージ無しで運んで、新転地でたくさんの実を結ばせたのだった。

 そうだ、花は3月〜4月! 先は長いんだった…。

 それにしても、あの年は大変だった。

 子どもたちが小さかった中での引っ越し…。荷造りは、ほとんど一人でやらなければならなかった。末の息子は一歳で、手がかかったしなぁ…。

行った先は、とにかく寒かった。流氷も見たんじゃなかったっけ…。

 アルバムだけじゃなく、こんなところにも思い出の栞があったんだなぁ。(二つの塔参照)

 呼び起こされる記憶に、一喜一憂している私を横目に、今日もカポックはジッと息を潜めている。

カポックの花が

Posted by nanaefree