同じ空の下歳時記

 暦には「雨水」

 確か昨年のこの頃に、このタイトルで投稿したような… (雨水

 あまりにも住む環境が変わったので、気温のことや、雨だの雪だのと比べてもしょうがない

 だからこそ、共通点を見つけるとホッとする

 日の出がずいぶん早くなった

 日没は一番早かった4時少し前だったときから1時間以上遅くなった

 やっぱり、空は繋がっているんだな…

 しかも、北の地方ほど夏至と冬至の太陽の出ている時間の差が大きいので、春分の日が近づくこの頃は、短かった明るい時間を大慌てで取り戻しているように日の出が早まっていく 日没はどんどん遅くなる

 この加速する日々が嬉しくて、南の地方に対してちょっとだけ優越を感じてしまうのは私だけだろうなぁ…

雪の結晶が撮れました 私の腕ではこれが精一杯です

同じ空の下歳時記

 冬に身を寄せる場所

 やっとここに戻って来た

個人の部屋のものなので、かなり小さいサイズですが

 雪国で生まれ育った人には当たり前の場所

 知らず知らずに擦り寄って行って、背中や手を温める

 関東で冬を過ごしていた間、我が家の暖房はオイルヒーターがメインで、ときどきエアコンも使った

 家の中は常に肌寒くて、衣類を重ね着してその季節が過ぎ去るのをひたすら待った

 炬燵に入るともちろん暖かかったけれど、かーっ!と熱くて色からも暖かさを実感できるこれがずっと恋しかった

 築50年になろうかという我が家では、排気は煙突から出ていく(写真左上)

 FF式のように、風がごぉーっと吹き出ないのもいい

 燃え上がっている炎に身を寄せて、「あったかいなぁ」ってチラチラと動く様子を見つめる

 エルキュール・ポアロが冬にロンドン郊外やイギリス北部の屋敷に招待され、赤々と燃える暖炉の前の椅子に腰を下ろし、冷たくなった指先を暖める

 毎夜のイギリス旅行 でこんな光景を読むたびに、身を寄せる暖房のない心細さに不満や違和感を感じたものだった

 暖炉のような風情はないけど、こんな頼もしい相棒がいれば「今日の最高気温はマイナス5℃」って言われたって、楽に乗り切れそうな気がしている

日々のあれこれ母の一世紀

 前回の投稿に引き続き、母の思い出話を…

 いよいよ明日妹に会える、という日の夜

 母がこれまで聞いたことのなかった話を始めた

 母の母親の葬儀の後、火葬場で

 小さな弟が泣き止まない

 「かあちゃーん、かあちゃーん」

 母と妹は、そんな弟を連れて外に出た

 弟を負ぶったまま、周辺の畦道を散歩する

 それでも弟は泣き止まない

 「かあちゃーん、かあちゃーん」

 火葬場の煙突から黒い煙が上がっている

 弟は泣き止まない

 「かあちゃーん、かあちゃーん」

 「あの煙はかあちゃんだから、みんなで呼んでみよう かあちゃん、返事してくれるかもしれないよ」

 三人で「かあちゃーん! かあちゃーん!」

 ここで母は笑った

 「でもかあちゃん、返事するわけないからさ」

 「それで畑の真ん中で、三人で『うわーん、かあちゃーん、かあちゃーん』って泣いたのさ」

 最後の言葉は声を詰まらせ聞こえなかった

 私も声を出すことも出来ずにただ頷いていた

 母の思い出話は、これまで書いてきたように早く両親をなくしたことで苦労はしたが、それを乗り越えて来たという話が圧倒的に多かった

(よろしければ、道のりをはじめ「母の一世紀」というタグの付いた文を辿ってください)

 こんな風に純粋にそのときの喪失の悲しみを聞いたのは初めてだったんじゃないかな

 話すだけの気持ちの余裕がやっと出来たってことかな?

 この機会に、忘れていたことを思い出したとも十分に考えられるけど…

 とりあえず、母よりも早くは逝けないよな…

上川盆地です 見晴らしの良い温泉に行って来ました