奇跡のような軌跡

 数年前、娘が「子どもが欲しいと思っているのに、なかなかできない このままだと、お金をかけて妊活するしかない」と嘆いていた

 そんな夏の終わりのある日、私はクローゼットの中の整理をしようと思い立った

 上の棚には、子どもたちが生まれた頃の物 − 母子手帳、へその緒、新生児の手形など − をまとめて入れた箱があった

 いつもは手をつけていなかったが、その日は「聖域なき…」な気分で、蓋を開けた

 その中には、上記の思い出の品に混じって、おはじきが5つほど入っていた

 これは、娘が一歳のときに、少し目を離した隙に飲み込んで、後日オムツ替えのときに発見した物だ 思っていたよりもたくさん…!!

 「娘の体の中を通り抜けて来た物だ」と思うと愛しくなって、念入りに洗って取っておいたのだった

 座右の銘がよぎる

 「今持っている不要な物を手放さなければ、本当に必要なものが入ってくるキャパは生まれない。」(関連 縁切り上手

 「可愛い赤ちゃんになって、また娘の中から出ておいで」

 半信半疑どころじゃないくらい“疑”の比率の高い祈りを込めながら、丁重に処分した

 その年の冬の初めに、娘は「子どもができた 夏にはおばあちゃんになれるよ」と知らせてくれた

 私は、複雑な思いで、それでもクスッと笑った

 だから、あの子たちは、おはじきの生まれ変わり…

 どうりで、キラキラしているばずだ…

写真は、あの日、娘に飲み込まれずに済んだ同形の物たちです

日々のあれこれ歳時記

 今年、私を励ますために用意された花が咲きました

 多肉植物、グリーンネックレスです (関連 励ましの花

 昨年のカポックに比べたら、ずいぶんあっさりと“ご褒美”がもらえた感じがします 笑

 昨日は立春でした

 娘が、下の男の子と二人で遊びに来て、何とも賑々しい一日になりました

 上の女の子は、パパとデートで、ショッピングモールに出かけたとのことでした  アスレチックで遊ぶ姿や、レストランでの食事の様子が娘のLINEに度々届いて、一緒に楽しんでいる気分も味わえました

 立春は、今年の運の始まりともいいます

 一日笑顔で過ごすことができて、娘夫婦に感謝です

 仕事がらみで憤りを感じることの多かった昨年でしたが、その弾みを利用して、今年は逞しいメンタルで、それらを凌駕してやろう!

 可憐な花は、「がんばれ!あと一年と少しになったよ」と、小さな声で励ましてくれています

子どもたちのことたどり着いた視点

 娘が高校生だったある日、友だちに頼まれて貸したスポーツウェアを、長い間返してもらえないと怒っていました

 その友だちは私もよく知っていて、何かの事情で忘れているんじゃない?と軽く受け止めていました

 数日後、娘は怒りながら泣いていました

 友だちに「返して」と連絡したら、「そんなことのために、何度もしつこく連絡してこないで!」と逆ギレされたとのことでした

 「もう、返してもらわなくていい」「ついでに、このまま縁を切る」

 身勝手な相手の一面に気づきながら、それと折り合いをつけて付き合ってきたのですから、いい機会だったのかもしれません

 それでも、「どうして、他人から借りたものなのに、返さなくてもいいと思う人がいるのかな」と泣いている娘を元気づけるにはどうしたものかと、必死で考えました

 絞り出した言葉が、

「私は、返さないで平気でいる子の親でなく、返してもらえないで泣いている子の親で良かったよ」

 ハッとしたように顔を上げ、安心したようにうなづいた娘を見て、この時の正解はこれだったのかなと思えました

 娘は、これから大きくなっていく可愛い孫たちに、友だちや関わる相手には、誠意をもって接するんだよと教えていくでしょう