同じ空の下母の一世紀

「生きてりゃ、きっと良いことがあるからな」

 父のもとへ、訳あって後妻として入った母に、舅である祖父がそう言ったという

 その日、母は祖父らと一緒に田んぼで農作業をしていた

 長男である伯父は健康上の理由で農家を継げず、代わりに次男である父が継ぐことになったと聞いている

 その伯父が、仕事をしている田んぼに夫妻でやって来て、何やら頼み事を祖父に持ちかけていた

 伯母の服装は、緩やかでスカート丈の長いワンピース  こんなに忙しいときなのに、手伝おうという気はさらさらないと、一目で分かる様子だった

「こんな忙しいときに来るな」

 不機嫌に二人を追い返した後で、祖父が母に言ったのが、冒頭の言葉だった

 あまりにも対照的に、汗と土と埃にまみれて働いている母へ、精一杯の慈しみを込めていたに違いない

「嬉しかったな…」 母は最後に、そうつぶやいた

 祖父らしいなと思う

 ものごとを多角的に見ている人だった

 こんな風に、母はふと思い出したことを話すことが増えた

 夏に帰省する半月ほどの間に、今まで聞いたことのなかった思い出話がぽつりぽつりと出てくる

 それまでの長い間の沈黙を思い、心が揺れる

「生きてりゃ、きっと良いことがあるからな」

 もちろん、良いことはある

 孫やひ孫が遊びに来る

 デジタルアルバムに写真が届き、離れているひ孫の成長も見守ることができる

 それでも、長い沈黙がある

 父は病気のせいで施設に入り、こんな状況下で会えない日が続いている

 血が繋がっておらず、気遣わしいながらも、何だかんだと寄り添いあっていたねえちゃんにも先立たれてしまった

「生きてりゃ、きっと良いことがあるからな」

 大好きだった祖父がそう言ったのなら、それは実現しなければならない

 私の手で (関連 繋がった空の下で

日々のあれこれたどり着いた視点

 最近、しきりに言われる“SDGs”

 資源の再利用を取り上げる内容が目につくが、他にもたくさんある

 あと8年で達成しようとしている目標が17も…!

 「本気?」って、他人事みたいに思ってしまう

 内容を見ると、地球環境の改善を目指すものをはじめとして、世界平和、人権の尊重、経済の発展など

 目新しいものはない

 どこかで見聞きしたような…

 他人様には礼儀正しく  迷惑をかけるな

 いい加減な仕事はするな

 自然に対して謙虚であれ

 言葉で聞いたわけではなかったけど、親や家族の背中がそう言っていた

 日本人の根底にずっとあったこうした価値観に、ひとつひとつ番号をふって、わざわざ一覧表にして

 全世界が、足並み揃えて目標に掲げたのだから、従って行こうと

 そこまでしないと動き出せないくらい、日本人の民度は下がってしまったのか

 不本意に思いながらも、自分の価値観に従って、今日もごみの分別を守っている

日々のあれこれたどり着いた視点

 広く浅く採用している、座右の銘の一つです

 仕事で文書を作成する、外部と連絡を取り合う、など、上司に最終チェックを依頼するときには、「間違いを見つけてもらおう」「落ち度を指摘してもらって修正すればいいや」と甘えないと決めています …当たり前かな?

 先日、スーパーのトイレに入ったら、大きめの汚物入れの上に貼り紙がしてありました

「大人用の紙おむつを大量に入れないでください」

 極端な例とはいえ、これが現状です

“厄介な荷物を、だきるだけ早く手放したい”

 大量に買って、大量に廃棄するのが活発な経済だとされている今、捨てるときの思考や行動に人間性が大きく表れます

 そもそも、家庭で出たゴミをきちんと分別して、決められた日に出したところで自分一人で解決しているとはいえないのです

 天候も気温も関係なく、それを回収して廻る人がいます

 清掃工場で焼却して、残った灰を埋め立てる人やシステムがあります

 トイレを使った後に水を流し、綺麗になったところで、それは自分の努力で成し遂げているとはいえないのです

 そんな、自己完結が不可能な世の中なのですから、せめて「次にこれに触れる人」へ想像力を広げて、誠意ある行動をしたいものです

 この面では、自己完結は一生クリアできない高すぎるハードルです

この植物は北海道にもありました! 青い丸いのはおままごとの材料でした「イシミカワ」という名は、今回調べて、初めて知りました