子どもたちのこと

 「お母さんのことを一番分かっているのは、お姉ちゃんかもしれないけど、おれが一番、お母さんのことを“想って”いるんだよ。」

 長男が、小学校の高学年のある日、私と長女の会話に入ってきて、こう主張しました。

 そのときは、長女と女同士の共感で、「さすが、分かってくれているんだね。」などという会話をしていたと思います。

 そんな姿に、やきもちを妬いたのかもしれません。

 はて…。私は、こんな“大告白”に、何と返したのだったか…。

 とうに成人し、毎日、仕事に明け暮れている長男も、こんなときがあったことなど忘れてしまっているでしょう。

 あの日の健気な“想い”もまた、心の中で、優先順位の下の方に埋もれているに違いありません。

 それでも昨日、雪予報を警戒して、朝、職場まで送り届けてくれました。

「帰りは公共交通機関で…。」と、覚悟していたのに、退勤時間を合わせて、迎えに来てくれました。

日々のあれこれたどり着いた視点,導いてくれた歌

 臆病風に吹かれて 波風が立った世界…

 Mr.Childrenが10年以上前に発表した、誰もが知っている「HANABI」のフレーズです。

 今の世界は、この頃よりも更に強い“臆病風”が吹いていそうです。

 ただごとでない“波風”が立っています。

 政府の対策や対応は、「迷走」ばかりが目について、不信感が募っています。

 強い物言いで批判する割には、自分の意見やアイデアを持っているわけではない人も数多く見ました。

 それでも、私は、自分を取り巻くこの世界を愛おしく思っています。

 子どもでさえも、文句を言わずにマスクをつけて外出します。

 買い物に行くと、店の出入り口では、手が荒れる季節にもかかわらず、みんなアルコール消毒液をつけて入ります。

 一人ひとりに大きな変革をもたらす力はないのでしょうが、みんなが

「ここを何とか乗り切ろう。」と、静かに決意して行動しているのを感じます。

 誰もが素敵な明日を願って、小さな希望に手を伸ばそうとしています。

 今、自分に出来ることをする。

 「もう一回!」と立ち上がるために。

二日月に願い事をすると叶うと聞いたことがあります。

カポックの花が

 カポックの花芽に、びっくりするくらい変化がない。

 零度を下回る朝も多いので、こんなものだったかもしれない。

 25年前を思い出してみる。

 あの年は、春の異動で引っ越しがあった。

 北海道の南から北へ、500キロの引っ越しだった。

 花が咲いた頃のカポックを、巻き段ボールで包んで、トラックに乗せたのだったか、自家用車で運んだのだったかは覚えていない。

 せっかくの花が傷つかないか、とにかく気遣わしかったが、ほとんどダメージ無しで運んで、新転地でたくさんの実を結ばせたのだった。

 そうだ、花は3月〜4月! 先は長いんだった…。

 それにしても、あの年は大変だった。

 子どもたちが小さかった中での引っ越し…。荷造りは、ほとんど一人でやらなければならなかった。末の息子は一歳で、手がかかったしなぁ…。

行った先は、とにかく寒かった。流氷も見たんじゃなかったっけ…。

 アルバムだけじゃなく、こんなところにも思い出の栞があったんだなぁ。(二つの塔参照)

 呼び起こされる記憶に、一喜一憂している私を横目に、今日もカポックはジッと息を潜めている。