花のその先

日々のあれこれ歳時記

 桜が咲き誇って迎えた年度はじめは、みんな、その花のようです。

 新しい環境でも、そうでなくても、笑顔で挨拶を交わし、新鮮な気持ちでお互いを受け入れ合っている風景。そこに立っているだけで、役割を一つ果たしている気分になります。

 でも、その時間はあまりにも早く過ぎ去ってしまうというのも、みんなが知っていることです。

 そして、そこからが本物の時間。

 お互いの実力に気づき合ったり、本性を見せ合ったり…。

 未熟だった人が、着実に力をつけていく時間でもあります。

 まるで、花のあとに、鮮やかな緑色の葉が伸びて、枝を覆っていくようです。

 見上げられたり、愛でられたりすることがなくても、しっかりと自分の葉を茂らせる大切な時間です。

 日々を夢中で過ごしているうちに、知らず知らすに誰かに木陰を提供するようになるかもしれません。

 散りゆく花に寂しさを感じながらも、その次にやってくる本物の時間も、毎年楽しみにしながら待っています。