小さな板の上で
平面上で指を動かすだけで、ほとんどのことが調べられる。
既知、未知を問わず沢山の人とコミュニケーションが取れる。
ぼんやりする時間など作らないほどに、数えきれない娯楽を与えてくれる。
これだけで、何のことを言っているのか分かります。
その有用性についても、弊害についても、それこそ少し調べればいくらでも情報が得られます。
その中にあるのか、ないのか、調べてもいませんが、世の中の“謙虚”や“感謝”の概念が何となく薄まっているように感じます。
そのツールを使いこなしたことで、自分には特別な才能があると思い込んでしまう。
指一本で、強大な敵を打ち倒す破壊力を得たつもりになる。
その分野で遅れを取った人たちを、侮ったり蔑んだりして、優越感に浸ろうとする。
小学生以下の小さな子どもから、いい大人まで、たった今、自分の身の周りで起きている現実を正しく認識することに、無頓着になってはいないでしょうか。
技術を駆使して敵を倒したのかもしれませんが、そのゲームを開発した人たちと、みんなで遊ぶために配信できるようにした人たちが素晴らしいのです。
インターネットで注文した食事にも、それを調理した人と届けてくれた人がいるのです。また、そのシステムを構築した天才的な人たちがいるのです。
私たちの多くは、誰かの多大なる才能と努力の恩恵を受けているだけの、その他大勢の凡人なのです。
もの心ついたときからそんな環境が出来上がっている子どもたちに、こうした事実と、それに向き合うときの“謙虚”と“感謝”を正しく教えるのは、私たち大人の急務ではないでしょうか。