「檸檬」
「捨て去る時には こうして出来るだけ 遠くへ投げ上げるものよ」
さだまさしさんの、「檸檬」。サビの部分です。
この歌詞に心を動かされたのは10代の頃で、別れ際に見せる、こんな思い切りの良さに、憧れのようなものを感じました。
とは言っても、それまで持っていたものを、こんなに大胆に切り捨てられる勇気など、持てるような日が来るとは思えませんでした。
この春、数年に一度の大きな別れがありました。
人事異動です。
今回は、慣れた場所や人と離れ、おそらく、知人が一人もいない場所でのスタートになります。
名残惜しくても、寂しくても、最後には自分で決定したこと。
大切に関係を築いてきた人たちの記憶から、お互いのことがだんだん薄まって消えていくのも、それぞれにとって必要なことのように思えます。
何度か繰り返してきたこうした別れに、ずいぶんたくましくしてもらったんだなぁと感じています。
感謝の気持ちを込めながら、未練を残すことなく別れを告げようと思います。去り際も、「檸檬」を見習って。
「消え去る時には こうしてあっけなく 静かに堕ちてゆくものよ」