日々のあれこれ歳時記

 散歩をしていて、思い出しました。

 子どもの頃は、こんなことが嬉しかったのです。

 生まれ育ったところでは、土の黒や、そこから芽吹く緑色を久しぶりに見るのは、4月の半ばになってからでした。

 圧倒的に白の多い、一面のモノクロの世界に、やっと色彩が戻って来たようで心が弾みました。

 小さかった私は、陽当たりの良い、庭の隅で見つけた小さな芽を、毎日毎日見に行って、春の訪れを確かめたのでした。

 「北海道は猛吹雪」というニュースを心配して連絡を取ると、「思っていたほどではなかった。」と言いますが、そもそもの想定が高いだけで、そこそこ降ったようです。

 毎日土を見て、他の季節よりも少ないながらも緑に囲まれて、花だって咲いている色彩豊かな冬をずいぶん繰り返してきました。

 それが当たり前ではないことを思い出して、小さな幸せに、もっと感謝しなくちゃなぁ…。

子どもたちのこと

 「お母さんのことを一番分かっているのは、お姉ちゃんかもしれないけど、おれが一番、お母さんのことを“想って”いるんだよ。」

 長男が、小学校の高学年のある日、私と長女の会話に入ってきて、こう主張しました。

 そのときは、長女と女同士の共感で、「さすが、分かってくれているんだね。」などという会話をしていたと思います。

 そんな姿に、やきもちを妬いたのかもしれません。

 はて…。私は、こんな“大告白”に、何と返したのだったか…。

 とうに成人し、毎日、仕事に明け暮れている長男も、こんなときがあったことなど忘れてしまっているでしょう。

 あの日の健気な“想い”もまた、心の中で、優先順位の下の方に埋もれているに違いありません。

 それでも昨日、雪予報を警戒して、朝、職場まで送り届けてくれました。

「帰りは公共交通機関で…。」と、覚悟していたのに、退勤時間を合わせて、迎えに来てくれました。

日々のあれこれたどり着いた視点,導いてくれた歌

 臆病風に吹かれて 波風が立った世界…

 Mr.Childrenが10年以上前に発表した、誰もが知っている「HANABI」のフレーズです。

 今の世界は、この頃よりも更に強い“臆病風”が吹いていそうです。

 ただごとでない“波風”が立っています。

 政府の対策や対応は、「迷走」ばかりが目について、不信感が募っています。

 強い物言いで批判する割には、自分の意見やアイデアを持っているわけではない人も数多く見ました。

 それでも、私は、自分を取り巻くこの世界を愛おしく思っています。

 子どもでさえも、文句を言わずにマスクをつけて外出します。

 買い物に行くと、店の出入り口では、手が荒れる季節にもかかわらず、みんなアルコール消毒液をつけて入ります。

 一人ひとりに大きな変革をもたらす力はないのでしょうが、みんなが

「ここを何とか乗り切ろう。」と、静かに決意して行動しているのを感じます。

 誰もが素敵な明日を願って、小さな希望に手を伸ばそうとしています。

 今、自分に出来ることをする。

 「もう一回!」と立ち上がるために。

二日月に願い事をすると叶うと聞いたことがあります。