移動する大気
大げさに表現するとこうなりますが、つまりは「風」のことです。
大人になって、ふと気づきました。
風の強い日が苦手です。
そんな話を、以前友人にしたら、
「何事にも動じなさそうに見えるのに、風ごときが苦手なの?」
と、笑われました。
髪がなびいて、顔に不規則にかかるのがイヤ。
目にナゾの粒が入るのがイヤ。
行こうとする方から吹きつけて、少し前のめりに歩くのもイヤ。
後ろから押されて、自分のペースで歩けないなんて、大きなお世話。
ここに置いたはずなのに、いつの間にか遠くに移動して落ちているモノを拾いに行くときには、腹立たしささえ感じます。
そこにあるのが、ただの「空気」とは思えません。一つの大きな塊としての「大気」という言葉がぴったりです。
4月から5月。
この地域では、毎年その「大移動」があって困ります。
私が吐いた二酸化炭素も、何処かから来た良からぬウィルスも、一瞬のうちに巻き込んで、遠くへ運んでしまう「お手柄」を考慮しても、やはり好きになれそうにありません。
今日は久しぶりに、大気が緩やかに移動しています。
洗濯物が静かに揺れて、大気と仕事に急かされ続けた一週間の疲れを癒してくれています。