木の上から
あなたには 幸せになってほしいから 遠くで手を振るだけの人になる
これも、数年前に新聞の歌壇に載った一首です。 (多少の記憶違いはあるかもしれません)
失恋の歌のようでもあり、子どもを独り立ちさせようとする親の気持ちを歌ったようにも取れます。
ちょうど娘が結婚を控えていたときだったので、私には後者がしっくりときました。
自分が主人公なのは自分の人生だけで、他の人の人生の責任は本人に任せるしかありません。
たとえ、それが今まで強い影響力を与えてきた我が子でも。
たとえ、経験の豊富な者の言い分を丸ごと受け入れていた方が、失敗を事前に回避できると思われても。
「木の上に立って見ている」と書く「親」という字。
頭では分かっていたつもりでしたが、とうとうそのときが来たんだなぁと思いました。
そして、「くれぐれもこの木から降りないようにしよう。」と、こっそり決心したのでした。