子どもたちのことたどり着いた視点

 娘が高校生だったある日、友だちに頼まれて貸したスポーツウェアを、長い間返してもらえないと怒っていました

 その友だちは私もよく知っていて、何かの事情で忘れているんじゃない?と軽く受け止めていました

 数日後、娘は怒りながら泣いていました

 友だちに「返して」と連絡したら、「そんなことのために、何度もしつこく連絡してこないで!」と逆ギレされたとのことでした

 「もう、返してもらわなくていい」「ついでに、このまま縁を切る」

 身勝手な相手の一面に気づきながら、それと折り合いをつけて付き合ってきたのですから、いい機会だったのかもしれません

 それでも、「どうして、他人から借りたものなのに、返さなくてもいいと思う人がいるのかな」と泣いている娘を元気づけるにはどうしたものかと、必死で考えました

 絞り出した言葉が、

「私は、返さないで平気でいる子の親でなく、返してもらえないで泣いている子の親で良かったよ」

 ハッとしたように顔を上げ、安心したようにうなづいた娘を見て、この時の正解はこれだったのかなと思えました

 娘は、これから大きくなっていく可愛い孫たちに、友だちや関わる相手には、誠意をもって接するんだよと教えていくでしょう

同じ空の下母の一世紀

 「次の一手」を常に考えながら戦略を進める人

 そんな洞察力や想像力が、私にもあったらなぁと、羨ましい限りです

 こんなかっこいい表現には申し訳ないくらい、私の「次の一手」はささやかなものでした

 一昨年の秋に、「来年のひと夏、母が張り合いをもって育てられる植物を…」と考えて、散歩道に自生していたコキアの種を採りました

 コキアは、北海道ではあまり普及していないので、珍しい植物が好きな母は興味津々で育てるだろうという予想は見事に当たりました

 暖かくなるにつれて、ムクムクと大きくなっていく様子、その形の可愛らしさ、秋に鮮やかな赤に染まっていく感動を、逐一電話で伝えてくれました

 秋が過ぎて枯れてきた頃に「種を採っておいたけど、気温が下がってから採ったから、芽が出なかったときのために、そっちでも採って、また送って」と言うのを聞いて、来年の楽しみもできたんだなぁ…と安心しました

 それでも「次の一手」は用意しています

 ネモフィラ、黄色いコスモス“レモンブライト”、白に青い筋の入った大輪朝顔

 どれも、散歩の途中で零れ種から育ったらしい株から種をいただいたものです

 いずれも、母にとっては目新しい花なので、季節をずらしながら花を咲かせて、楽しい夏にしてくれるでしょう

 嫁いで来てから苦労の連続で、辛い思いもしてきた母です(関連 勝手に使命感

 一人暮らしになって、どんなに心細いかと思いながらも、離れて住む私には、してあげられることは限られていて、もどかしく感じる日々です

 せめて、毎日、一度は笑顔になれるように、「次の一手」、また「次の一手」と、手駒を用意しておきたいのです

 ちなみに、今日の電話で、「家の中で苗を育てておこうと思って、1週間ほど前に種を蒔いたら、3日くらいで芽が出たよー」と喜んでいました

 ちょっと、気が早過ぎじゃないかな…

 張り合いがあるってことだから、まぁいいか…

昨年夏 北海道育ちのコキアです

同じ空の下

 「男もすなる日記といふものを…」なんて、かしこまってはいませんが、5年日記といふものを初めて買ってみました

 自分の立派な行動の記録を残そうなどど、大それた夢をもっているわけではありません

 こちらでの生活が、あと一年あまり (関連 繋がった空の下で

 向こうでは、手伝うにしても、経営するにしても農業に携わろうと思っています

 一年前、数年前の自分が何をしていたかを参考にしたり、振り返ったりするのに、ちょうどいい紙面の並びです アナログな紙媒体というのも必須です

 ここからの5年間といえば、それなりの覚悟をして迎えなければなりません

 生活の変化

 父のこと

 母のこと

 文字や記録が、自分にとって支えになることを、このblogを始めて気付きました

 大切な場面でも、過去を省みて、冷静な判断ができますように…

 その前に、ちゃんと続けられますように…

眩しいほど、色鮮やかな表紙が、ちょっと恥ずかしい…