同じ空の下母の一世紀

 「次の一手」を常に考えながら戦略を進める人

 そんな洞察力や想像力が、私にもあったらなぁと、羨ましい限りです

 こんなかっこいい表現には申し訳ないくらい、私の「次の一手」はささやかなものでした

 一昨年の秋に、「来年のひと夏、母が張り合いをもって育てられる植物を…」と考えて、散歩道に自生していたコキアの種を採りました

 コキアは、北海道ではあまり普及していないので、珍しい植物が好きな母は興味津々で育てるだろうという予想は見事に当たりました

 暖かくなるにつれて、ムクムクと大きくなっていく様子、その形の可愛らしさ、秋に鮮やかな赤に染まっていく感動を、逐一電話で伝えてくれました

 秋が過ぎて枯れてきた頃に「種を採っておいたけど、気温が下がってから採ったから、芽が出なかったときのために、そっちでも採って、また送って」と言うのを聞いて、来年の楽しみもできたんだなぁ…と安心しました

 それでも「次の一手」は用意しています

 ネモフィラ、黄色いコスモス“レモンブライト”、白に青い筋の入った大輪朝顔

 どれも、散歩の途中で零れ種から育ったらしい株から種をいただいたものです

 いずれも、母にとっては目新しい花なので、季節をずらしながら花を咲かせて、楽しい夏にしてくれるでしょう

 嫁いで来てから苦労の連続で、辛い思いもしてきた母です(関連 勝手に使命感

 一人暮らしになって、どんなに心細いかと思いながらも、離れて住む私には、してあげられることは限られていて、もどかしく感じる日々です

 せめて、毎日、一度は笑顔になれるように、「次の一手」、また「次の一手」と、手駒を用意しておきたいのです

 ちなみに、今日の電話で、「家の中で苗を育てておこうと思って、1週間ほど前に種を蒔いたら、3日くらいで芽が出たよー」と喜んでいました

 ちょっと、気が早過ぎじゃないかな…

 張り合いがあるってことだから、まぁいいか…

昨年夏 北海道育ちのコキアです